パリ・オペラ座バレエ
頂点に燦然と輝くエトワ—ルを擁し フランス バレエのエレガンスを醸しだす
バレエ大国フランスで最高峰の水準と、最大の規模を誇る、世界的なバレエ団である。十七世紀後半にルィ十四世により創設。史上最古のバレエ団であるだけでなく、つねに世界のバレエの中心に立ちつづけてきたのがその偉大さのゆえんである。バレエが宮廷から大衆へと開かれた十八世紀には、スターの演出と技術革新に沸き、パリを中心にロマンティツク バレエが隆盛を見た十九世紀にかけては、タリオーニ、エルスラー、グリジらの舞姫を招き、商業バレエ団として未曾有の繁栄を迎える。その後の西欧でのバレエというジャンル自体の衰退を経て、二十世紀前半にはバレエ・リュス出身のリファールの指揮のもとで高い芸術性を回復。ヌレエフが1983年に芸術監督に就任すると、そのもとで「ヌレエフの子どもたち」と呼ばれるシルヴィ・ギエム、イザベル・ゲラン、ローラン・イレール、マニュエル・ルグリらの傑出したダンサーたちが活躍し、古典バレエの規範の完璧ともいえる体現と、前衛を恐れない積極的な新作上演によって、黄金時代を築く。ダンサーの大部分は付属バレエ学校の出身で、最高位のエトワール以下、プルミエ・ダンスール、スジェ、コリフェ、カドリーユに分かれる。正確で高度な技術と理想的な身体条件、大きな存在感を備えた団員を揃えたオペラ座は、威風堂々たる「ダンサーのバレエ団」とえいる。近年のスターにはポントワ、ルディエール、P・デュポン、ピエトラガラ、現バレエ学校校長のプラテル、ジョゼ マルティネズらの錚々たる名前が並び、現在のエトワールはアニエス ルテステユ、オレリ デュポン、ニコラ ルリッシュ、マチュー・ガニオら。振付隶にとっては、ここで仕事をすることが、すなわち一流の証。フォ サイス、キリアン、エック、勅使川原らがその列に連なる。