マリインスキー・バレエ

ロシアバレエの伝統に育まれた 優美で気品あふれるサンクト ペテルブルグの宝石

十八世紀の揺籃期からロシ ア バレエをリードしてきた、ロシアでもっとも伝統あるバレエ団。十九世紀後半には、マリウス・プティパがこの劇場で活躍し、『眠れる森の美女』などの数々の古典名作バレエを生み出した。1738年に、ペテルブルグにロシア初のバレエ学校ワガノワ・バレエ・アカデミー （現在の名称）が創設され、ここで養成されたダンサーたちが、マリイ ンスキ  バレエに入団してゆく ことになる。このバレエ学校は、世界で崇敬されている優れた舞 踊教育システム、ワガノワ・メソッドの総本山である。マリインスキ— バレエのダンサーは全員、ほかのバレエ学校出身者も 含めてこのメソッドの継承者たちである。つねに世界最高峰のひとつであるこのバレエ団のレベルの高さ、群舞からソリストまでの優美な舞踊スタイルの統一は、全員が、この優れた教育システムによるバレエ学校の精鋭たちであることから可能に なっているのである。二十世紀前半に、ソ連がモスクワ中心主義をとりそれまで国の文化の中心であったペテルブルグが、やや勢いを失った時 期マリインスキーバレエ当時の名称はキーロフバレエから、Mセミヨ・ノワ、 GウラーノワLラヴロフスキー等々のスーパ—スターがモスクワの ボリショイバレエに引き抜かれてしまつたが、ワガノワ・バレエ・アカデミーは絶えず優秀なダンサーを養成しつづけた。1960年～1970年代、このバレエ団から天才的舞踊手R・ヌレエフ、N・マカロフ、M・バリシニコフが欧米に亡命したことで、 世界はロシア バレエの実力を あらためて実感することになる。 彼らは世界のバレエ界に、多大 な影響を及ぼすことになった。ロパトキナなどの稀有なダンサ—に恵まれている現在も、このバレエ団の勢いは増すばかりである。