ボイショイ・バレエ

ネルギッシュな持ち味と充実のダンサー陣を誇るモスクワにそびえるバレエの殿堂

ロシアの首都モスクワにある世界屈指のカンパニ1776年に私立の劇場として創設。帝室劇場 国立 になったのは1842年だが、十九世紀末までは、バレエの中心はペテルブルグのマリィンスキーバレエであった。ボリショイ・バレエが独自性をはっきり打ち出してきたのは、1990年に、A・ゴールスキーが、マリインスキーバレエを本拠地としていた巨匠マリウス・プテイパに反旗を翻し、 ボリショイで新演出 ドン・キ・ホーテ』を発表したときである。この作品から、情熱的で率直、 大胆な表現により劇的なバレエを作り上げるポリショイの特徴が、つねに意識されるようになる。ソ連時代のモスクワ中心主義で、ボリシヨイにマリインスキ（キーロフ）の大物たちが移籍させられ1920年代以降、ボイショイは急激に発展した。M・セミョーノワ、G・ウラーノワ等々の名舞踊手や、Lラボロフスキー、Y・グリゴローヴェチ等々の振付家が、モスクワで活躍し、次世代に影響を及ぼし、引退後に大スターを育てた。世界で崇拝されるボリショイ出身のダンサーにはM・プリセツカヤ、E・マクシーモワ、V・ワシーリエフ、L・セメニヤカ、I・ムハメドフ、N・アナニアシヴィリ等々がいる。二十世紀後半からのこのバレエ団の特色として、男性舞踊手の踊りのスケールの大きさ、男 性主役の作品の多さが挙げられる。これは、31年間ポリシヨイを率いたグリゴローヴィチの創作の特徴であり、彼の作品を踊って世界を驚嘆させたワシーリエフやムハメドフ等々の功績である。グリゴローヴィチ退任後、ワシーリエフ、ラトマンスキー等めまぐるしく芸術監督が交代し、2011年に、この劇場の元人気スター、Sフィーリンが着任した